むき出しのトラス、大聖堂のような高い天井、レンガのアーチといった定番の手法から離れ、Barn Bのクライアントは、朽ちかけた農業用建造物という壮大なスケールの中に、より静かで住まいらしい雰囲気を求めました。サウス・ダウンズ国立公園の高台にある中庭を囲む複数の納屋のひとつであるこの建物を、彼らは主たる生活空間にしたいと考えていました。現在の自宅はすぐ隣にあります。
既存のフリント石造りの壁は修復され、再生石材によって補強される一方、もとの通気性のある構造は維持されました。内部ではガラス張りと漆喰仕上げの壁が空間をそれぞれのエリアに分け、納屋改修にありがちな紋切り型の表現を避け、より控えめで人間的なスケール感を大切にしています。
保全と保護への意識が高まる時代において、建築家たちは実務上新たな課題に直面しています。ゼロから建てるべきか、既存のものを転用すべきか。既存の建造物を修復することの長期的な利点とは何か。クライアントの与件に応えながら、地球への影響を最小限に抑えるにはどうすればよいのか——。
Denizen WorksのMurray KerrとRebecca Woodwardにとって、こうした問いは決して机上の空論ではありませんでした。彼らのクライアントは、改修の可能性を秘めたいくつもの古い農業用建物を所有していました。それらは美しい田園地帯の高台に集まり、風を遮る中庭を形づくっていました。夫妻はそのうちの一棟に暮らしており、隣にある半ば朽ちかけた大きな納屋の改修をDenizenに依頼したいと考えていました。
建築家たちにとっての課題は、こうした伝統的な農業建築から、刺激的で意外性がありながらも機能的な空間をいかに生み出すかということでした。「クライアントは私たちの仕事をよく知り、素材へのアプローチを評価したうえで依頼してくださいました」とKerrは振り返ります。「空っぽの納屋を改修し、居住可能な住まいにしてほしいというご要望でした。外観への変更は最小限に抑えつつ、内部を重視し、それでいて内と外のつながりを持たせたいとのことでした」
KerrとWoodwardとの打ち合わせの当初から、クライアントはテレビ番組や雑誌でおなじみとなったような、いわゆる典型的な納屋改修は避けたいと明確に伝えていました。その代わりに、この建物の見事なスケール感を最大限に活かしつつ、波形鋼板のような農村部の建物によく見られる丈夫な素材も取り入れたいと考えていたのです。
Catherine Coyle, Homes and Interiors Scotland
キャプション
事務所が手がけた納屋改修シリーズのひとつ——こちらはWest Sussexの案件
既存の納屋群に囲まれた中庭
注:サウス・ダウンズ国立公園内、ダークスカイ(星空保護区)など
既存の建物に負荷をかけすぎず、控えめに
内向的なクライアント——既存の改修部分から広げていく
型にはまらない納屋改修が求められた(むき出しのトラスなど、よくある手法からの脱却)
壮大な/農業的な建物から住空間を切り出す
静かな外観と、内部に潜む意外性
引用文
「農業建築の構造には、スケール感や光、住居用途としての空間の分節を自在に操る大きな可能性がありました」Rebecca Woodward, Denizen Works
「建築家たちは、所有者の関心や多彩なコレクションへの鋭い審美眼を汲み取り、都会的な要素と田舎らしい要素を見事に融合させています」Catherine Coyle, Homes and Interiors Scotland
エフェメラ